サイトウミュージアム学藝員の田中です。今年度から愛知県内の大学で博物館経営論も追加で講義することになりました。大学までの坂道を歩くのが健康に良く、しかも講義前に毎週どこかの美術館やギャラリーの展示が見られるのでうれしい限りなのですが、講義内容と関連して分析をする機会が増えてきました。
今回は「作品はどういう基準で評価しているの?」ということを自分なりに考えてみたものをご紹介します。僕は美術館で作品を見ていて、「この作品いいな」などと思ったときに、何故良いと思ったのか職業柄、言語化する必要があります。作家の方であれば自己の作品分析のとっかかりになるかもしれません。こうした作品の分析みたいな例はいくつもありますが、とにかく誰の例も参考にせず、最初は自分で一度考えてみることが大切だと、今になってようやく気付きました。
レーダーチャートとなっているものの、健康診断結果のような、すべてにバランスよく良くなくても、どこかで突出している作品も魅力的だと思います。表を作ることで、こぼれ落ちてしまう項目なども点検することができ、それを意識することがこのチャートづくりの楽しさかもしれません。チャート左下の「言語化できない ※表現手段が的確」という項目は、その絵画材料や機器の選択が、この作家の表現にもっとも適していると感じられるかどうか、という項目で、言葉や文字だけでは表現しえないことを視覚芸術でおこなっているかどうか、を意味しています。ちなみに、学生にも作ってもらいましたが、専攻などの違いでも設定する項目が異なり興味深い結果となりました。
という具合に、それぞれの方で評価項目が変わってくると思いますし、そのときの自身の年齢などでも異なってくると思います。
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